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許嫁発表から早数年、俺も16歳、シェルムは13歳になった。
***
許嫁になったからといって、俺とシェルムの関係が特段変わることはなかった。
相変わらず距離が少しあいたまま、同性の友達と俺はつるんでいた。
たまに会えば素直になれなくて、不器用に声をかけるぐらいしか俺にはできなかった。
俺はいよいよ明日、魔法学園へ入学する。
魔法学園は4年生の学園、長期休み等で帰宅は出来るといってもほぼ寮生活になる。
当然俺も寮への準備で忙しく、シェルムと会う機会は減っていた。
13歳になったシェルムはまだ可愛らしさが残るものの、確実に大人へと近づいていた。
俺の周りは16歳、色恋にざわつくお年頃で。
許嫁がいることを知ると、周りは俺をからかってきた。
まだ話を流すには俺は幼く、
丁度反抗期に差し掛かっていた俺は迷うことなく拳を繰り出した。
***
手を出し、相手に怪我をさせ自分も返り討ちを食らい、怪我をして帰る。
母はあきれ、父はこんなことで拳を使うなと俺を制した。
反抗期だったこともあり、親の言う事には耳を貸さず。
怪我をするとどこからともなく噂を聞きつけたのか、
シェルムが応急処置箱を持って二階にある俺の部屋に来てくれた。
「ルーくんまた喧嘩したって聞いたよ!相手にしちゃだめでしょ~」
そう言いながら、慣れた手つきで腕にある患部に消毒液を吹き付ける。
「・・・・っつ!!!」
「なんで喧嘩しちゃうの」
「それは・・・」
「ルーくんもう16歳なのに子供っぽいんだから」
歳下のシェルムにそう言われるのは複雑だった。
「ルーくん明日魔法学園に入学するんでしょ」
「・・・・ん」
「寂しくなるなぁ~」
絆創膏を貼って、これでよしというシェルムを俺はまじまじ見る。
「これあげる!!」
「今回は失敗してないんだから」
サッと俺の右手首にビーズで出来た星のブレスレットをつける。
「これって・・・」
「ルーくんが寂しくないようにおまじない」
にこーっと笑うシェルムに意地貼ってた俺も嬉しくなる。
数年前に貰ったビーズのブレスレットは
結び目が甘かったのかあっという間にバラバラになってしまった。
もっと頑丈なの作るからといってそれからしばらく音沙汰がなかったのだが。
「これシェルムが作ったのか?」
「当たり前でしょ~!」
緑と薄い黄色のブレスレット、星のビーズもついていて、シェルムの色だってすぐにわかった。
そんなブレスレットを贈ってくれたことが俺はめちゃくちゃ嬉しくて。
「大事にする!!」
「うん!!大事にしてよね~」
「勉強頑張ってね、また帰ってきた時に遊ぼう?」
「あぁ!」
「じゃあ、私もう行くね?手紙いっぱい書くからね!」
箱の中身をささっと片づけてシェルムは足早にこの場を去ろうとする。
俺はもうちょっと喋っていたくて思わず腕をつかんで引き留めた。
「シェルム、俺。約束守るから」
「星いっぱい見せられるように魔法いっぱい覚えてくる」
まじまじと久々にシェルムの目を見ると、
相変わらず俺の大好きな透き通るような青い瞳で。
「・・・うん」
心なしかシェルムの顔が赤いような気がする。
俺はその珍しい表情に見惚れ、シェルムが俺から目をそらした隙にシェルムにキスをした。
「・・・俺はシェルムが好きだから、他の男になびくなよ」
「心配だから」
そう素直に伝えてみたら顔赤くしながらコクコク頷くシェルム。
つかんでた腕を引っ張ってしばらくハグをする。
俺の鼓動の速さがシェルムに伝わってるかもしれない、
でもシェルムの暖かさがすごく心地がよくて開放することができない。
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「シェルムちゃんもごはん食べてくー??」
下から聞こえる母の声にハッとして俺はシェルムを腕の中から開放する。
すると、シェルムは慌てて下に下りていこうとして少し立ち止まり。
「またね」
といって足早に階段を下りていった。
ごはん、自分の家で食べます~~!!と母に答えてるシェルムの声が聞こえる。
これでしばらく会えなくなってしまう。
けど、決して一方通行じゃないであろう気持ちに俺は嬉しくなってしまって。
しばらくにやけた顔を抑えられなくて。
俺の寂しい気持ちはどこかへ行ってしまった。
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