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「寒くないか?」
「ううん、大丈夫。皆寝る時間なのに・・・ドキドキするね」
俺のローブはシェルムに渡してある。
冬の寒さは俺もさすがに寒く感じるが、寒がりのシェルムには堪えるだろう。
一応、俺のローブは寒さに強い魔法もかかってるから大丈夫だとは思う。
俺もカーディガンだけで少し冷えるが背中に温もりを感じるのと、
ちょっと緊張しててほのかにアツい。
2人乗りの箒で向かう先は星が綺麗に見える場所。
あまり遠くに行って、すぐ帰れなくなるのもあれだから、
学園の近くにある星が綺麗に見える場所に向かった。
この場所もシェルムが入学したと知った日からリサーチして探した。
すでに星はたくさん輝いていて、後ろに乗るシェルムが感嘆の声をあげる。
「綺麗だろ?冬は空気澄んでるし星が綺麗に見えるよな」
「うんうん!!地元じゃこんなに見れなかったよねきっと!!」
背中ごしにきっと無邪気な顔をしているであろうシェルムが容易に想像できる。
大木が近くにあったので、そこの枝に降りる。
手を差し出し、シェルムをエスコートする。
「俺もいれてくれ」
「ルーくん冷たいじゃなーい!!」
俺のローブに二人で包まる。
「星、本当に綺麗だね。約束守ってくれてありがとう」
「うん」
「流れ星だー!!願い事何回しなきゃなんだっけー!?」
はしゃいでるシェルムの顔はいつまでも見ていたい。
そんなことしてると朝が来てしまうだろう。
俺はシェルムのそんな顔が好きだから。
「シェルムちょっと話、いいか?」
「うん?」
シェルムは俺の方に視線を向けた。
「・・・俺がもっとちゃんとした大人になれたら」
「魔法騎士になってシェルムも養えるようになったら・・・・」
シェルムが何か悟ったのか瞳が揺れる。
「俺と結婚してくれますか?」
差し出したのは、小箱に入ったグリーンの宝石とパールと星がモチーフのピアス。
街へ出かけてる時、シェルムに気に入ってもらえるんじゃないかと一目みて買う事を決めた。
小箱を持つ手が若干震えてるが自分でもわかる。
それは寒さなのか緊張なのか・・・
許嫁だから将来は約束されてるが、
シェルムの口からちゃんと聞きたかった。
それに年が明けたら留学生が来るし、そうなったらシェルムとの時間が減るかもだし。
もしかしたら他に好きなやつが出来てしまっても絶対嫌だし。
俺が卒業したら、また離れ離れになってしまう・・・だから。
「シェルム・・・返事は?」
目がウルウルして涙が見えるシェルムの瞳。
「もちろん、喜んでお願いします・・・!」
ボロボロと零れ落ちる涙・・・
俺はそれを指で拭いながら・・・
「つけてもいいか?」
「私耳に穴あいてない・・・」
「え!?」
なんてことだ俺としたことが!!つい、ピアスを選んでしまってたが、
シェルムの耳にはピアス穴があいていなかった。
「ご、ごめん・・・・イヤリングにお店にいって替えてもらう・・・!!」
「ううん!!そのままでいい。ピアスのままで」
「大丈夫か?」
「このためにピアス穴あけるから」
にっこり笑い小箱を大事そうに受け取るシェルム。
「へへ!!」
じっとずっと眺めてるシェルム。
「左手の薬指の指輪はちゃんとまた贈るから・・・」
「・・・うん・・・」
「シェルム、愛してるずっとずっと前から・・・」
「私もルーくんのこと小さい頃から大好きだよ」
肩を寄せ合い、暫く二人で星を眺めながら余韻に浸った。
きっといつまでもこの時の出来事・時間の流れ方を忘れないだろう。
願わくばいつまでも二人で、過ごしていきたい。
いつまでも、いつまでも・・・。
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