忍者ブログ
  • [PR]
    ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • = イベント =


    Wizard Programの1年は濃厚だ。
    行事がぎゅっと詰まってるし、校長がたまに好き勝手に突発イベントを出すし。
    試験もちゃんとある。



    7月はサマーフェスティバル。
    学園近くの海へ行き、水魔法や身体強化の魔法を練習する実習。
    俺ももう4年目だから、実習に難しさを感じることもないし、水魔法の対応にも慣れた。
    海に出てる出店の焼きそばももう食べおさめかもなと食い意地はりながらひたすら食べる。
    シェルムの水着姿も新鮮だったな・・・
    そういえば二人で海行ったことなかったかもなぁ~と眺める。


    8月は夏休み。
    いきなり?と思うかもしれないが、初めての寮生活になる者もいる1年生には一呼吸置けるいい機会かもしれないな。
    俺は夏休みは4年生ということもあり、帰省しないことにしたが、街では花火大会などあったようだ。
    シラハ先生の国の文化で浴衣というものを着て、シェルムとデートをした。

    大きな花火の音が聞こえ見上げてると

    「ルーくん、ちょっとかがんで~」

    腕を引っ張られ、俺は油断して体制を崩す。
    そこではじめてのシェルムからのキス。

    へへって笑うシェルム、花火の音は遠くに聞こえて忘れられない夏の思い出になった。


    9月は体育祭。
    俺とシェルムは同じチームシールドになった。
    そしたら従妹からシェルムと同じチームになったことが気に入らないと一方的にキレられたが、
    こればかりは部屋番号順なんだから仕方がない。
    変身魔法での借り物競争で俺のお題は【好きな人】だった。
    当然シェルムの元へ駆け出す、毛並の良さには誰にも負けないギ.ャロップの姿になって、俺は駆け抜ける。
    結果、チームシールドは負けてしまったが、俺はシェルムの手作り弁当を食べることができたので4年最後の体育祭は良い思い出だ。


    10月はゴーストダンスパーティー。
    昼の部では長靴を履いた猫の仮装をした、夜の部では俺がこれから入る魔法騎士団の団員服を着た。会場脇にあるテーブルに、シェルムたちはいた。
    仮面越しの従妹の目線をしりめに一応「ごめんな」と従妹にジェスチャーを送る。
    シェルムで間違いない女性の手をそのまま引く。

    ファーストダンスは一緒に踊らないとな。
    薄いイエローのドレスがシェルムの肌に映えていてとても綺麗だ。
    見慣れない姿に気持ちが高揚していくのがわかる。
    音楽が変わり、パートナーの入れ替え。

    シェルムはそのままやたらキラキラした男に誘われダンスしていた。

    見聞は広めるべきだ。そう思う。特に夜の部では仮面舞踏会、無礼講だ。
    先輩後輩も関係ない、楽しく踊るべき行事だ。
    だけど俺はやっぱり気に入らなくて、再び音楽が切り替わったタイミングで再びシェルムを誘った。
    ラストダンスは譲れないよな。


    11月は文化祭。
    俺も最終学年ということで、級友のみんなとバンドを組むことになった。
    バンドが入れ替わり演奏することを対バンっていうらしいな、
    相手は学園では有名な爆音音楽姉弟と級友の弟。
    俺はドラムを担当することになった。もちろん初めてだったので、訳も分からずだったが、リズム感に難ありの俺でもなんとかこなせる曲目だったので良かった。
    練習着と本番とで服装も変えたりして、凝った文化祭になったと思う。


    12月はセントデリバードデイ・・・。
    大きなケーキを学年の皆で協力して作る。腹が減っては戦はできぬというしな。
    ちょっとつまみ食いしてたのが盛大にバレたし、クリームはかきまぜればいい覚えだったので
    思いっきりかきまぜたら筋力UPしていた俺は生クリームとは呼べない柔らかさのものを練成していた。他の級友たちが皆どうにかしてくれたるだろ(と祈りたい)

    そして、俺はここでひそかに決意をしていた。
    年を越したら留学生が来る。その前にシェルムに渡したいものがある。

    俺はセイントデリバードデイの夜、こっそりシェルムを呼び出し、箒で寮を飛び出した。









    *****
    PR
  • = 祈り =

    「寒くないか?」

    「ううん、大丈夫。皆寝る時間なのに・・・ドキドキするね」



    俺のローブはシェルムに渡してある。
    冬の寒さは俺もさすがに寒く感じるが、寒がりのシェルムには堪えるだろう。

    一応、俺のローブは寒さに強い魔法もかかってるから大丈夫だとは思う。
    俺もカーディガンだけで少し冷えるが背中に温もりを感じるのと、
    ちょっと緊張しててほのかにアツい。




    2人乗りの箒で向かう先は星が綺麗に見える場所。

    あまり遠くに行って、すぐ帰れなくなるのもあれだから、
    学園の近くにある星が綺麗に見える場所に向かった。


    この場所もシェルムが入学したと知った日からリサーチして探した。



    すでに星はたくさん輝いていて、後ろに乗るシェルムが感嘆の声をあげる。



    「綺麗だろ?冬は空気澄んでるし星が綺麗に見えるよな」


    「うんうん!!地元じゃこんなに見れなかったよねきっと!!」


    背中ごしにきっと無邪気な顔をしているであろうシェルムが容易に想像できる。


    大木が近くにあったので、そこの枝に降りる。

    手を差し出し、シェルムをエスコートする。


    「俺もいれてくれ」

    「ルーくん冷たいじゃなーい!!」


    俺のローブに二人で包まる。


    「星、本当に綺麗だね。約束守ってくれてありがとう」

    「うん」

    「流れ星だー!!願い事何回しなきゃなんだっけー!?」


    はしゃいでるシェルムの顔はいつまでも見ていたい。

    そんなことしてると朝が来てしまうだろう。
    俺はシェルムのそんな顔が好きだから。


    「シェルムちょっと話、いいか?」


    「うん?」


    シェルムは俺の方に視線を向けた。


    「・・・俺がもっとちゃんとした大人になれたら」

    「魔法騎士になってシェルムも養えるようになったら・・・・」



    シェルムが何か悟ったのか瞳が揺れる。



    「俺と結婚してくれますか?」



    差し出したのは、小箱に入ったグリーンの宝石とパールと星がモチーフのピアス。





    街へ出かけてる時、シェルムに気に入ってもらえるんじゃないかと一目みて買う事を決めた。


    小箱を持つ手が若干震えてるが自分でもわかる。

    それは寒さなのか緊張なのか・・・



    許嫁だから将来は約束されてるが、
    シェルムの口からちゃんと聞きたかった。


    それに年が明けたら留学生が来るし、そうなったらシェルムとの時間が減るかもだし。
    もしかしたら他に好きなやつが出来てしまっても絶対嫌だし。
    俺が卒業したら、また離れ離れになってしまう・・・だから。



    「シェルム・・・返事は?」



    目がウルウルして涙が見えるシェルムの瞳。



    「もちろん、喜んでお願いします・・・!」



    ボロボロと零れ落ちる涙・・・
    俺はそれを指で拭いながら・・・


    「つけてもいいか?」


    「私耳に穴あいてない・・・」


    「え!?」


    なんてことだ俺としたことが!!つい、ピアスを選んでしまってたが、
    シェルムの耳にはピアス穴があいていなかった。


    「ご、ごめん・・・・イヤリングにお店にいって替えてもらう・・・!!」


    「ううん!!そのままでいい。ピアスのままで」


    「大丈夫か?」


    「このためにピアス穴あけるから」


    にっこり笑い小箱を大事そうに受け取るシェルム。



    「へへ!!」


    じっとずっと眺めてるシェルム。



    「左手の薬指の指輪はちゃんとまた贈るから・・・」


    「・・・うん・・・」



    「シェルム、愛してるずっとずっと前から・・・」

    「私もルーくんのこと小さい頃から大好きだよ」





    肩を寄せ合い、暫く二人で星を眺めながら余韻に浸った。


    きっといつまでもこの時の出来事・時間の流れ方を忘れないだろう。






    願わくばいつまでも二人で、過ごしていきたい。









    いつまでも、いつまでも・・・。









    ******
  • = これからも =


    あの夜のあとは、寮にシェルムをおくり、俺も自室に帰った。

    なかなか夜は寝付けなくて次の日機能できなくて大変だった、俺が。

    あの夜のことは・・・今のところ二人だけの秘密。





    ****




    年を越し、シェルムはピアス穴を開けて俺のピアスをつけてくれている。

    シェルムの耳元でピアスが揺れる度、俺は幸せな気持ちになった。



    そして、学園では留学生歓迎のニューイヤーフェスティバルが開催。

    留学生がきて学園が一気ににぎやかになる。


    ニューイヤーフェスティバルでは、ゴーストダンスパーティの時とは違って、
    カジュアル形式のパーティ、皆それぞれテーマカラーでカジュアルなドレスに身を包む。

    皆小さくなってスノードームの中で過ごす。
    スノードームは動きながら各教室を巡りながら・・・学園案内も兼ねている。

    中では俺も学園最後ということで、男女や学年関係なく友人たちとダンスしたり、
    やっぱりシェルムとダンスしたり、

    帰省中のお土産がテーブルに並んで俺はそれを同級たちと舌鼓みをうつ。





    2月はグラシデアデイ・・・
    お世話になってる方々に感謝の気持ちを伝える日、
    学園の近くでは花束を売るマーケットが立ち並ぶ。


    俺も当然シェルム用に99本のひまわりを買い届けてもらうことにした。
    ひまわりは本数によっても花言葉が変わるらしい。



    そして、もう一人渡すと決めた人物がいる。


    その一人用にマーケットで花を買う。


    花の名前はブライダルベール。
    花言葉は”あなたの幸せを願ってます”


    これは幼少期から何かとバチバチしてしまう従妹のララへ。



    ブライダルベールは自分で運べるので、その足で従妹の元へ向かうことにした。





    ******




    シェルムとララは一緒にいて、シェルムが俺に気づいて手を振り、
    ララはまたあからさまに嫌そうな顔をする。


    先に魔法で届いていた99本のひまわりは無事シェルムに渡すことが出来た。


    「わー!!ルーくんありがとう~!!」

    予想通り喜んでくれて、一つ一つ大事そうに見て回っている。


    ララは・・・そんな様子を複雑そうに見ている。


    ここのところ、ララの様子がおかしかった。
    あれはニューイヤーフェスティバルからだったろうか。


    どうやら同級生の一人から逃げ回ってるらしいという話はシェルムから聞いた。

    あの二人をどうにかしたいという話も聞いている。




    「ララ!」


    「何?」


    「これを・・・」


    さっとブライダルベールの花束を出す。






    「・・・・!!」


    まさか俺から花束をもらうとは思わず驚いた顔をする。


    「まだ内緒にしてたからシェルムからも聞いてないと思うが、」
    「俺はシェルムと将来の約束をした。」



    「・・・結婚する約束?」


    「ああ」


    「・・・知ってた」



    「だからいろいろ邪魔してきたんだもんな」


    「・・・わかってる、シェルムちゃんもそうだったから」


    ブライダルベールの花束をじっくり見ているララ。


    「シェルムちゃんを不幸にしたら許さないから」


    俺の視線とララの視線がまっすぐぶつかる。



    「わかってる」


    「シェルムちゃんが泣いてたらいつでも駆けつけてルークから奪うから!」


    「ああ」


    「・・・おめでとう、複雑だけど」


    「ありがとう、俺はおまえの幸せも願ってる。ララ」


    「・・・ん」




    ララは決意した顔をして歩き出した。
    俺はシェルムとひまわりの元へ向かう。



    従妹は何か決心したようだった。




    ブライダルベールの花言葉は”あなたの幸せを願ってます”

    99本のひまわりの花言葉は”永遠の愛””ずっと一緒にいよう”







    学園の残りの時間もあと少し、シェルムと一緒にいられる時間もあと少し。



    残りの1日1日を俺は大切に過ごしていきたい。
    大切な人たちと。
























    Thank you for reading !!!

    **********